2月の営業日はカレンダーの黄色の枠の日にちです。
2月1日(水)は勝手ながら休みます。
よろしくお願いいたします。
「ありがと書店」さんとの往復書簡、掲載しています。
過去の往復書簡の掲載案内
1回目 2021年6月23日
2回目 2021年8月20日
3回目 2022年2月5日
4回目 2022年5月25日
5回目 2022年8月15日
6回目 2022年9月24日
7回目 2023年1月15日
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井上さん
先日、小学校へ行ってきました。 そこで小学2年の子どもたちと親御さんに本の紹介をさせてもらいました。 事前に、図書の先生に日頃 読んでいる本を伺い、当日は親御さんにも一緒にそれらの本を体験してもらうことにしました。
準備したのは「からたちの花がさいたよ」「かいじゅうたちのいるところ」「三びきのやぎのがらがらどん」。それとこちらから「赤い目のドラゴン」を用意しました。 どの子も図書室をよく利用しているのか、みんな楽しげな様子で、本の会が始まる30分も前に集まってくれていました。せっかくなので その時間に自己紹介もかねて好きな本をおしえてもらうことにしました。質がどうかはともかく、自分の好きな本をしっかりと伝えてくれている様にはたのもしさを感じました。親御さんにも同じように自己紹介をお願いしたのですが、いろんな本を読んでいますと あいまいな言い方だったり、本は読んでいないといわれる方だったりと、本との関わりの違いがはっきりしていました。会の後半で親御さんには本の質の違いをお話させていただいたのですが、その時のみなさんの感想には 自己紹介の時に伺った各々が持つ本の捉え方の違いに通じるものがありました。
そんな親御さんと子どもたちに向けて本を読んだ時、とても楽しいことがありました。それは、「からたちの花がさいたよ」から”お祭”を朗読し始めると 子どもたちが一緒に口ずさんでくれたのです。その様子に親御さんたちも私もおどろきました。と同時にそれもそうだと納得もしたのです。
今回「からたちの花がさいたよ」を読み返しました。その時、1ページからめくるのではなく、開いたページの詩を声に出して読みました。どの詩もテンポが良く、日本語のくり返しが心地よく韻をふんでいて、次から次に読みたくなりました。そして詩ひとつひとつの 景色が広がっていく感覚も、とても気持ちの良いものが残りました。 トン、コトリ。 もそよ、もそよ、 ほろんとしてる、 とんろん、 とっとっと、とっとっと、 ぽっ、ぽっ、ぽっ、ぽっ、 わっしょい、わっしょい、 すうすとけずろ。・・・・ 次々に出てくる表現からは、音、風、光、気配が感じられます。 これらの 詩が放っているものを 子どもたちはなんのてらいもなく受け止め体験できているんだと思います。 「からたちの花がさいたよ」(岩波少年文庫)の最後のページに“自分の童謡は日本の自然の智慧の祭”という一文があります。白秋の詩を読むと力が湧いてくるのですが、それはこの文にある自然の知恵が言葉のなかに秘められていてその恩恵なのだなと再考しました。
偶然、「季刊 子どもと本」の最新 第171号の表紙に白秋のことが紹介されていたのですが、これまでにも連載されている「白秋と子どもたちの詩」を又、読み返しています。
ところで井上さんは「からたちの花がさいたよ」の中でどの詩がお好きですか?私は「やさい」です。今、畑で じゃが芋や大根を育てているのですが、芽が土の上に出てきた時の愛らしさと重なって、読むと目尻が下がります。
2022年12月14日 伊藤 寛美
拝復 新しい年を迎えました。本年もよろしくお願い申し上げます。
7回目の往復書簡のお手紙をありがとうございました。 拝読いたし、小学校に行かれての子ども達と親御さんの様子がとてもわかりやすく伝わってきました。子ども達の声が聴こえるようでした。よい時間を持たれ体験をされましたね。やはり子どもは私達大人にとって先生ですね。大切なことを まっすぐに伝え おしえてくれます。 北原白秋「からたちの花がさいたよ」(岩波少年文庫)の中の詩を読まれたのもよかったですね。子どもは何の構えもなく詩の中にスーッと入っていけますものね。うらやましいくらいに。「からたちの花がさいたよ」の中で私の好きな詩は「ちんちん千鳥」です。 ねむらず一晩中 啼いているちんちん千鳥のことを、寝れず聴いている作者の孤独さが伝わってきます。詩は美しい言葉を羅列することではなく、心を詠むことなのだと、この詩によって気づき知りました。詩人の心(魂)が響き読み手に入ってくるものだと。なので、詩には深みがあり味があり 時として心を開放してくれ力となる。まさに文学です。
昨年11月22日に校区の小学校2年生13名が、生活科の「もっとなかよしまちたんけん」学習で店に来てくれました。7個ほど質問を受け、最後に「イギリスとアイルランドの昔話」(福音館書店)から「ちいちゃい、ちいちゃい」を読みました。後日、先生が子ども達の感想を書いたものを表にし、持って来てくださいました。 その中のひとつを紹介します。「わたしも本がすきで いろいろおしえてもらってもっと本がすきになりました。本をよむとふいんきがあることをしりました。ほんとうにありがとうございました。」雰囲気と書いてありますが、行間を楽しんでいるのですね。当日もそうでしたが子ども達の感想を読み、受けてよかったと思いました。ある子は本屋の小さいドアと大きなドアを描いてくれていて、楽しかったことがその絵からも伝わってきました。
一カ月に一度いらしてくださるIさんは、昨年読まれた本の中で「ねずみ女房」(福音館書店)が特に大切な本となられ、本がお好きなお友達にプレゼントをされました。Iさんは その年 読まれた本でお好きだったのを記してのクリスマスカードを毎年くださるのですが、お友達の「ねずみ女房」の感想も書いてくださっていました。拝読し深く心に沁みられ、この本の本質に出会われてあるすてきな感想でした。本屋として最高のクリスマスプレゼントでした。
年末は27日まで開け、最後の日にいらしてくださったお客様お二人からすてきなお話をお聴きしました。 Nさんは お子さんたち(高校生と中学生)と読んだ「チムとゆうかんなせんちょうさん」(福音館書店)がお好きで、悩みがある時 よくこの絵本を手にされるとのこと。チムが自分で決め船に残り、嵐の中 自分で決めたことを後悔せず向き合う姿に、心が動かされ力をもらうとおっしゃっていました。お子さんが小学生の時、ある先生が子ども達のことで悩まれてあり、「読んでみられませんか。」とお貸しされたそうです。何かふっきられたような気がしたので改めてプレゼントをされたとのこと。 Aさんは雪の積もった12月18日ご主人の実家に行かれた時、4歳のGくんが庭にあるスイートスプリングを見に行き、それを取るためにハサミを借りに家に戻り、再びハサミを手に庭に、実を入れる袋がいるともらいに家に、ハサミと袋を手に木に戻り実を収穫し 家に入って来たと。雪の中を三往復の冒険でした。それに付き合われたAさんが、まるで「くんちゃんのだいりょこう」(岩波書店)のようでしたと。あの絵本を読んでなかったら、くんちゃんみたいと思って付き合っていなかったと思いますとおっしゃっていました。 本が持っている力を感じます。心に響き楽しみながら読まれたことが、自然とご自身の力になっておられます。
昨年感じたことのひとつが、人の動きが個(点)であると。面として広がっていくような動き方をしなくなってきているのではと思われます。何故なのかなと思います。楽しいこと 心に響いたことは自然と人に伝え広がり面となっていくのではと思います。それが感じられなくなってきており、どこか人が閉鎖的になってきているように思えます。 なので、Iさんの「ねずみ女房」を通してのお友達とのことや感想は、その方を存じ上げなくても「一緒。私もそう思います。」という気持ちで面となりその繋がりを感じます。Nさんも「チムとゆうかんなせんちょうさん」をお一人だけの楽しみとせず、気になる方に渡されてあります。Aさんも本のこと お子さんの出来事を分けて考えず重ねられ、ご自身の中で面として広げてあります。 三人の方を含め、人を信頼してある姿に昨年も接することが出来、心を満たされ希望を感じ、本屋の一年を終えました。
2023年1月7日 井上良子
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井上さん
先日、車移動していると 目の前を猿の一家が横切っていきました。総勢10匹程で、食べ物を探しに山を降りてきたようでした。 先に、すばしっこそうな2匹が様子をうかがいにきていて、少し経ってから体格の良いボスらしき猿と子猿を2~3匹背負った猿がゆっくりと畑に向かって行きました。背中にしっかりとしがみついている子猿と、そのことを当然として食べ物(生きていかないといけませんから)を目指している親猿の姿は 家族のあり方の基本そのものでした。 日本の昔話に猿が登場しますが、とても近い存在だったのだろうと実感した出来事でした。
出会うことで心が動いたり、想像の喜びを感じることができたり。体験する前には無かった感覚が、体験した後に芽生えているというのは、とても不思議です。 以前(もう随分前になりますが)、井上さんから「心が動いたことが核となって、それはどんどん大きくなっていく」といったお話を聞いた時、ピンときていませんでした。しかし、その後『季刊 子どもと本』を通じて出会った本で、何ともいえない優しさや美しさや力強さのようなものが心を覆った体験は、ずっと消えません。本だけでなく自然や食べ物でも同じくらい心、動かされるものに出会ったとき、その中心部分が太くなるような感じがします。往復書簡の1回目のお返事にある「読み続けてきた本が、見えないところで力になってきてくれている」ということが、ようやくわかってきたように思います。 たくさんの情報があるなかで、五十代で子どもの本やさんに出会われたり、セミナーに参加される方がおられることは、奇跡のように思います。豊かな自然や文化も残そうとしなければ一瞬にして無くなってしまいますから、出会うことのできた自分は、しぶとく、できることをやっていきたいと思います。
今度、小学校の2年生と保護者さんたちへ、本のことをお話しする機会を頂きました。 現代の日本の家庭環境は様々です。私は以前、夜間保育と昼間の保育を併設した保育園に勤めていました。保育園の開園時間は7:00~26:00。登園してくる時間も帰る時間も様々。家庭環境も様々。そこでとても大切にされていたのは『環境』でした。 職員の立ちふるまいもですが、置かれている物・使う道具などはシンプルでかつ美しいものをということを考えて用意してありました。そんななかで過ごす子どもたちは、ひとつずつ感覚や感性を自分のものにしていき、生きる力にしているようでした。
小学2年生ともなると、もうしっかり自分の好みを自覚していますから、全くつまらないものには見向きもしないでしょう。今度 逢う 子どもたちがどんな幼少期を過ごし、どんなお話に出会ってきたのか想像しながら当日のことを考えています。今からとても楽しみです。
子どもの本やさんの近くには小学校がありますが、今年の夏休み、本屋さんへやってくる子どもたちの様子はいかがでしたでしたか?教えてください。
2022年9月5日
伊藤寛美
拝復 伊藤さん 6回目の往復書簡のお手紙をありがとうございました。猿の一家に遭遇され、日本の昔話に猿が登場し、とても近い存在だったのだろうと実感したと書いておられました。「日本昔話百選」(三省堂)の中の「狼の眉毛」は好きな話のひとつなのですが、それを読むと、動物と人との関係が今よりもっと近かったのだろうと感じます。狼が「お前は真人間じゃ。」と言って助けてくれるのですが、実際はそういったことはないでしょう。しかし、そういったこともありえるという関係(心と心との)だったのだろうと思われ、そこに生きていくことの望みのようなものが伝わってきます。
この夏、「ともしびをかかげて」(ローズマリ・サトクリフ)を20年ぶりぐらいに再読しました。読み終え、人に対し自分に対し正直に誠実に生きる人としての道を、サトクリフを含め読んできた すぐれた作家より学んできたのだと改めて強く思いました。私はこのような人達に出会いたいため、そこに喜びを感じながら、本を読んでいるのだと思います。
来店されたお客様との会話の中で、子どもがいつごろから字を書くようになったかという話になりました。息子は読むのも書けることも全くなく小学校に入学したのですが、今日はこの字を習ったと嬉しそうに毎日言っていたのを思い出しました。知らなかったことを知った喜びを感じていたのですね。その後 息子のペースと授業のペースが合わなくなり、喜びの声も出なくなりました。今、子どもの世界を見ると、喜びに出会う機会が少なくなってきているのではと思います。大人が前もって準備をして子どもに出会わせるため、初体験で感じる喜びが失せてしまっているのではと。喜びを感じることを、大人が奪ってしまっているのかもしれませんね。
今年の夏休みは猛暑とコロナで親子での来店が少なかったです。それでも何組かいらしてくださり、子どもたちのおしゃべりにずいぶんと和まされました。
8月末に高校3年生のK君がバイトの前に「まだ、お店があるかと思って。」と寄ってくれました。「まだ続けてるよ。K君に子どもが出来たら買いに来てね。」と言うと「来るよ。」と言ってバイト先へと走り出しました。「2歳半からでいいからね。」と走って行くうしろ姿に声をかけると、立ち止まり手を振ってくれました。 K君とは彼が小学校1年生の時 出会い、4年生の時 友人と本を聴きに来てくれたこともありました。1冊読み、次は少し寂しい本がいいという注文に、「赤い目のドラゴン」(リンドグレーン文)を読みました。読み終わると感想をそれぞれ言ってくれK君は「ぼくも大人になったら このように家を出ていくのだろうね。」と言い、ドラゴンの方に気持が重なったんだなと思ったことでした。 K君の子どもが2歳半になるまで続けなくてはと思った この夏でした。
2022年 9月19日
井上良子
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電話番号 092-552-1651
050-1440-7784(店から電話をおかけしますと、
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